ちゃんと弾いていてもなんだか音がざらざらしていたりサスティーンが短い気がする…こんな悩みはないでしょうか。
実はそれ、あなたの腕ではなくベース本体に原因がある可能性があります。
その正体はビビり音。
ベースのセットアップが不十分なために弾いたときに弦がフレットに当たってしまい、弦が十分に振動できず音がきちんと鳴らないために発生するノイズが原因です。
今回はビビり音がなってしまう原因とその対処法について書いていきます。
道具さえあれば誰でも行える内容ですが、これは自力では無理だと判断したら無理はせずにリペアショップに駆け込みましょう。
取り返しがつかなくなる場合があります。
ビビり音とは
弦が振動したときにフレットにぶつかってしまい、その音が『ビリビリ』『ザリザリ』といったようなノイズとなって鳴ってしまう音。
要は弦とフレットがぶつかってる音がそのまま鳴ってしまっているということです。
クリーンで弾いたときに歪ませたようなノイズが入っている場合はかなりの確率でビビっています。
ちなみに音がビビっている=悪いというわけではありません。
軽度のビビりはフレットノイズとも呼ばれ、むしろ演奏のアクセントにもなりますし、ビビリをうまく使って音色をナチュラルに歪ませているという人もいます。
プロのベーシストでも弾きやすさを重視して多少のビビりは気にしないという人もたくさんいます。
あくまでビビりすぎていると、サスティーンが落ちたり音が汚くなったり、最悪音が詰まってちゃんと鳴らなくなると言ったことが起きるので、そうならないために狙ったビビりじゃない場合はベースのセットアップをきちんと行い解消した方がいいです。
ベースの音がビビる原因
ベースがビビってしまう原因には
・プレイヤー側の問題
・ベース側の問題
の2点があります。
プレイヤーの側の問題
こちらは単純に必要以上に強くピッキングしすぎていたり、指板の押弦が弱すぎたりと主に力加減が原因のことがほとんどで、自分が弾くとビビるベースを他の人が弾くとビビらないといったケースもよくあります。
後述する対処法でベースのセッティングを確認したときに問題がなさそうならプレイヤー側の問題です。
この場合の解決策は非常にシンプルで
・ピッキングや押弦の力加減を見直す
・強く弾いてもビビらないセッティングに変更する
のどちらかで解決できます。
後者の場合は自分でいろいろいじって試したり、リペアショップで相談するなどして自分にあったセッティングを探しましょう。
ベース側の問題
ベース側に問題があるケースは様々あり、主に
・ペグの問題
・ブリッジの問題
・弦高の問題
・ナットの問題
・ネックの問題
・フレットの問題
の6点があげられます。
どこに異常が起きているかによって対処法も変わってきます。
それぞれに異常が起きているかどうかの確認方法とそれぞれの対処法についてこれから詳しく解説していきます。
ビビりの原因の確認と対処法
先程あげた問題の対処法を項目別で解説していきます。
異常の確認自体は誰でもできますが、作業内容によっては自力で行うと取り返しのつかないことになることもあるので自信がなければ素直にリペアショップに持っていきましょう。
また、確認作業は実際にベースを弾く状態で行わないと意味がないのでチューニングをしっかりと行った状態で行うようにしてください。
・ペグの問題
・ブリッジの問題
・弦高の問題
・ナットの問題
・ネックの問題
・フレットの問題
ペグの問題
ペグがしっかりとヘッドに固定されているかどうか確認をします。
開放弦でビビってしまう時はここに問題がある可能性が高いです。

ペグが緩んでいると弦と一緒にペグが振動してしまうので、ペグの振動が弦に伝わり必要以上に振動してビビりが生じます。
一般的なベースであればドライバーを使ってネジを閉めるだけで解決できます。
ブリッジの問題
ペグ同様ブリッジの固定が緩んでいる場合も弦の振動をしっかり支えられず、ビビリに繋がります。
開放弦でビビってしまう場合、ペグと同時にこちらも疑いましょう。

サドルから外れてしまっている
また、このようにしっかりとブリッジに弦がハマっていないということも考えられるのでよく確認しましょう。
ボディへの取り付けが緩くなっているだけであればネジを閉めれば解決できますが、ブリッジそのものに異常がある場合は交換になる可能性が高いです。
弦高の問題
ビビリの原因で一番多いのがこちらの弦高の問題です。
弾きやすさを求めて弦高を低く設定しすぎて音がビビってしまうパターンです。
このように定規を使って
・一番細い弦の12フレットと最終フレット
・一番太い弦の12フレットと最終フレット
の弦高を測ってみましょう。
この時、必ず実際に弾くときと同じ構え方をして測りましょう。
(寝かせて測るのと構えて測るかで弦高も変わるため)
そして4弦ベースの場合、
・1弦の12フレット2mm以下、最終フレットが12フレットよりも低い
・4弦の12フレットが2.5mm以下、最終フレットが12フレットよりも低い
場合は弦高が低すぎます。
当てはまる場合は一度弦高を上げてみて音を確認してみてください。
上記の数字はあくまで目安で、低弦高用のセッティングがきちんとされているベースであればもっと低くセッティングすることも可能です。
実は極端に弦高を低くするにはネックの調整やフレットのすり合わせなどを低弦高用に調整する必要があったり、ベースによっても低くできるか否かは変わってくるので、極端に低くセッティングをしたい人はリペアショップに持っていって相談をしましょう。

このように主に六角レンチを使ってブリッジについているサドルを調整してあげることで解決できます。
ナットの問題
ナットの状態も弦高に関わります。
先程の弦高調整を行ってもなかなか弦高が高くならない場合は、ナットがすり減っている可能性が考えられます。

ナットは最低でも1フレットよりも高い位置で弦を支えてないと正常に作用しません。
1フレットの高さと比較してみてほとんど差がない、あるいは低くなってしまっている場合はナットが原因で弦高が低くなり、ビビリが生じていることが考えられます。
ナットは消耗品なので個人でも気軽に購入することができますが、すり合わせには高度な技術が必要なのでリペアショップにいくことをおすすめします。
ネックの問題
先程の弦高の話に関連してネックの状態も弦高に関わってきます。
もし弦高を調整してもなおビビリが解消されない場合はこちらを疑いましょう。

このように1フレットと最終フレットを押さえてみて、弦と12フレットの間に隙間ができているがどうかを確認します。
◎僅かに隙間がある=程よい順反り
隙間が空きすぎている=順反りしすぎ
全く隙間がない=真っ直ぐすぎるor逆反り
ネックは僅かに順反りしている状態が理想です。
ネックが真っ直ぐすぎるか、逆反りしてしまっていると高確率でビビリが発生します。
逆に隙間が空きすぎていると順反りしすぎているので極端に弦高が高くなってしまったり別の弊害が出てくるのでトラスロッドの調整を行い、ネックの角度を調整します。
ネックのボディ側かヘッド側にトラスロッド調整用の穴があると思うので、そこに六角レンチを差し込み、ネジを回して調整を行います。
順反りを直したい場合は時計回り 逆反りを直したい場合は反時計回り
上記の画像のように必要な方向に回しましょう。回す方向はボディ側とヘッド側どちらの場合も変わりません。
回しすぎると取り返しのつかないことにもなるので、必ず少しだけ回すようにしましょう。
目安として一度に回す量は15°〜30°くらいにしておけば大事故にはならないでしょう。
こちらに関してはベースにとってとても繊細な部分なので始めて触る人や、全く自信がない人はリペアショップに持っていくことをおすすめします。
フレットの問題
フレットの処理は素人がやるとほぼ確実に事故になるのでリペアショップに持っていくことを強くおすすめします。
フレットは弦との摩擦で徐々に削れていくので使っているうちに凸凹になっていきます。
例えば、4弦の5フレットを押さえた時だけビビるなど、特定の箇所だけでビビったりする場合はフレットの消耗が原因であることが考えられます。
また、先程のネックの確認作業の要領で
・1フレットと12フレットを押さえたときの隙間
・12フレットと最終フレットを押さえたときの隙間
を確認することでより細かくネックの状態を確認することができます。
このとき全体でみた時は少し隙間があるが、12フレットから最終フレットだけで見ると全く隙間がない、といったような現象が起きている場合があります。
その際にネックを調整しても変化がなければフレットをすり合わせるしか解決策はありません。
自分ですり合わせを行った場合、ほぼ100%均一にできずむしろビビリが悪化します。
ましてやフレットを交換する時はすり合わせに加えて、フレットを全て外して打ち替えるという作業が必要になるため、正しい知識と経験をもっておこわないと最悪指板が割れて取り返しがつかなくなります。
ネックの調整がうまくできていてもフレットがガタガタだと綺麗に鳴ることはまずないので、どう頑張ってもビビリが解消されない場合は一度リペアショップでフレットの状態を確認してもらいましょう。
まとめ
ビビリの原因は基本的に、
・弦高が低すぎる+ネックが逆反りしている
・ナットがすり減ってしまっている+フレットがすり減ってしまっている
など、セットになっている場合が多いです。
低頻度にもよりますが、新品で買って1〜2年くらいは自分で行えるくらいの修理くらいしか必要ないかもしれませんが、3年5年と長く弾き込んでいくうちに大きな異常はどこかしらにでてきます。
使っていくうちにナットやフレットは消耗しますし、ネジも振動で緩んでいきます。
また、湿気や乾燥でネックの反りも変わるので音がセッティングを変えていないのに音がビビり始めたという場合は上記の方法で何か異常が起きていないか確認してみてください。
その際に自分の力だけでなんとかしようとして取り返しのつかないことになって大事な相棒とお別れ、ということになってしまっては元も子もないので、無理はせずにプロに頼ることも忘れないようにしましょう。
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バンドマンから会社員になったアラサーベーシスト。
会社の飲み会をすっぽかしてベースを弾いちゃうほどのベース好き。
今までのベース人生を無駄にしないために役立つ情報を発信中!
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